SalesforceのAI機能と一言にいっても多くの機能があります。
それぞれ何ができて、どのように利用するのでしょうか。
今回はSalesforce AI機能の一つであるEinstein Discoveryで何ができるのか、
どのように利用するのか大まかな流れを紹介します。
Einstein Discoveryでできること
Einstein Discoveryは、CRM Analytics (Analytics Studioアプリケーション)の機能の一つです。
以下のことが可能です:
- 統計モデリングと機械学習の活用:
- コード不要で、迅速に反復可能な環境でビジネスデータを分析。
- モデルを使用して将来の結果を予測し、ビジネスデータのインサイトを提供。
- 予測と改善の提案:
- モデルを基に予測を行い、ビジネスプロセスを最適化するための提案を生成。
- 予測結果をSalesforceのワークフローやページに統合して、具体的なアクションを実行可能。
- ユースケース:
- 回帰: 定量的データ(例:売上金額の予測)。
- バイナリ分類: 2つの結果を予測(例:商談成立/不成立)。
- マルチクラス分類: 複数の結果を予測(例:次のフェーズの予測)。
- ビジネス成果の最大化:
- ビジネス上の課題を特定し、重要なKPIを改善するためのソリューションを提供。
Einstein Discovery利用の流れ
ここでは大まかな流れを解説します。コードは不要でクリック操作だけです。
データセットは主に以下のデータソースから作成することができます。
- CSVファイル
- Salesforceのデータ
- 外部のデータ
※Analytics Studioを利用するには作業者に必要な権限セットが付与されている必要があります。
以下はTrailheadで提供されているCSVサンプルです。
“商談成立”が予測したい値(以下、結果変数)で、他が関連する値(以下、予測変数)です。
予測したいデータセットのカラム名を指定します。
(売上金額や商談成立(TRUE/FALSE)などの値を持つカラムを指定します)
次に選択したカラム値を最大化したいのか、最小化したいのかを選択します。
設定が完了するとEinsteinがデータセットを分析してモデルを作成してくれます。
分析が完了するとモデルパフォーマンスとデータインサイトが表示されます。
(モデルの作成要件に満たない場合はデータインサイトのみ表示されます)
モデルの品質に悪影響を与える可能性があると「データアラート」で内容と改善案を知らせてくれます。
作成したモデルをSalesforceで利用するには、モデルをSalesforceにリリースする必要があります。
モデルのリリースでは予測変数とオブジェクトの項目を対応付けます。
その他に、予測結果改善の提案に使用する項目の指定や高度な利用のための設定などがあります。
モデルをリリースしたことで対応付けた項目の値から予測結果と改善案を取得できるようになります。
対応付けたオブジェクトのLightning レコードページに「Einstein 予測」コンポーネントを配置することで表示できます。
他にもさまざまな場所、方法で予測結果と改善案を取得することができます。
Apex APIを使用して予測結果をカスタム項目に格納することもできます。
利用するには上記のステップが必要ですが、継続してモデルを活用していくにはモデルの監視や定期的なメンテナンスが必要になります。
詳しくはTrailheadモジュール:Einstein Discovery の基本 を参照してください。
利用するには何が必要なの?
エディションと権限:
- 使用可能なエディション:
- Salesforce Classic および Lightning Experience。
- Enterprise Edition、Performance Edition、Unlimited Edition、Developer Edition。
- 必要なライセンス:
- CRM Analytics Plus ライセンスまたはEinstein Predictions ライセンス。(有料オプション)。
- 権限セット:
- CRM Analytics Plus ユーザー権限セット: モデルの使用や予測の参照など、制限されたアクセス権を提供。
- CRM Analytics Plus システム管理者権限セット: モデルの作成、管理、リリースなど、すべての機能にアクセス可能。
詳しくは公式HELP:Einstein Discovery の権限セットと権限 を参照してください。
データセットの準備:
- 分析に適したデータセットの作成が必要。
- データの質と量がモデルの精度に大きく影響。
- モデル作成には少なくとも400行以上の結果値が必要で、最大2000万行までのデータに対応。
- 列数の最小は3列、最大50列まで。
詳しくは公式HELP:Einstein Discovery の容量と要件 を参照してください。
Developer Editionの利用:
- 無料のCRM Analytics Developer Editionをサインアップして、機能を試すことができる。
- データセットの作成、モデルのトレーニング、予測の取得などの操作を安全な環境で学習可能。
まとめ
Salesforce AI機能の一つであるEinstein Discovery について紹介しました。
項目間の関連性を視覚化することや値の組み合わせで結果がほぼ決まるケースで特に力を発揮すると思います。
有料ライセンスが必要ですが、無料のCRM Analytics Developer Editionが提供されていますので、
興味があればぜひTrailheadから触ってみていただけたらと思います。