Salesforce 次世代アーキテクチャ「Hyperforce」とは

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Hyperforceとは、従来のSalesforceでデータセンター、インフラ基盤を維持・管理するのではなく、AWSなどのパブリッククラウドサービス上にSalesforceを構築する新しいプラットフォームアーキテクチャのことです。
Salesforceは数年前から既存組織のHyperforce移行を進めています。まだ自分の組織は移行前という方は、概要や移行の注意事項を確認しておきましょう。今回はHyperforceについて解説します。

目次

Hyperforceとは

Hyperforceとは、AWSなどのパブリッククラウド上にSalesforceを構築する構造のことです。
従来はデータセンターから全てSalesforceで管理していましたが、データセンタープロバイダの進化に伴い、インフラはパブリッククラウドサービスを活用していくようです。その分、Salesforceは機能拡張や開発に注力できます。

Hyperforceは2020年12月に米国で発表されたもので新しいものではありません。
Salesforceでは既存組織の移行を進めていますが、自分の組織はまだHyperforceではないという方もまだ多いと思われます。いずれはHyperforceへ移行していくため、今のうちに移行の準備を進めていきたいですね。

Salesforceサクセスナビ:Hyperforceの概要と移行について

ちなみに従来のSalesforceが運営するデータセンターは今後も維持するそうです。完全に直営データセンターを廃止する訳ではなさそうです。

Salesforce公式HELP:Hyperforce について – 一般情報と FAQ

Hyperforceのメリット

Hyperforceのメリットをピックアップして紹介します。

Hyperforceのメリット①:ローカルのデータ保存および処理オプション

Hyperforceではアプリケーションの実行やデータの保存をどこで行うか選択できます。
データの保存を国内に指定することで規制の厳しい業界でもコンプライアンスを確保します。
また、Salesforce アプリケーションを他のアプリケーションと共に同じ場所に配置してローカルのパフォーマンスを活用することも可能です。

Hyperforceのメリット②:拡張性

ビジネスニーズに合わせて必要な時に拡張性がある状態で最新のハードウェアを利用できます。
ブラックフライデーなどトラフィックが急増する場合でも柔軟に対応することができます。

Hyperforceのメリット③:セキュリティ

パブリッククラウドの最新セキュリティに加え、Salesforceの強固なセキュリティにより、顧客データを安全に保護します。

Hyperforceのメリット④:後方互換性

既存のSalesforceアプリ、カスタマイズ、連携機能は、Hyperforce移行後も問題なく稼働します。

Hyperforceの耐障害性

従来のSalesforceインスタンス

東京と大阪それぞれのデータセンターで同じアプリケーションサーバーとデータベースの構成を構築し、一方が稼働中、もう一方が待機状態で、稼働側から待機側へデータのコピーを行っていました。

Salesforceサクセスナビ:Hyperforceの概要と移行について

Hyperforceのインスタンス

Hyperforceではパブリッククラウドを利用するため、リージョンとAvailability Zone(AZ)という概念を用います。

リージョンとAvailability Zone(AZ)とは

リージョンとは東京や大阪といった地域で、AZはリージョン内の一つまたは複数のデータセンターで構成されています。AZは自然災害や電力供給等の面で独立していて、一つのAZが災害で停止しても他のAZには影響がないように構成されています。従来は東京と大阪のように地理的に離れた地点それぞれにデータセンターを用意して信頼性を高めていましたが、リージョン内のAZを複数契約することで高い信頼性を確保できるようになりました。

Hyperforceは少なくとも3つ以上のAZで構成されています。各AZそれぞれにアプリケーションサーバー、データベースが存在します。各AZのアプリケーションサーバーは全て稼働しており、データベースは1つのAZを除いて待機状態です。稼働中のデータベースから待機状態のデータベースへログレベルで非同期に複製される仕組みです。

Salesforceサクセスナビ:Hyperforceの概要と移行について

自分の組織インスタンスがHyperforceかどうか確認する

自分の組織が属するインスタンスIDが分かれば以下のサイトでHyperforceか、そうでないかを確認できます。
インスタンスを探す:https://availability.salesforce.com/find-my-instance/

Salesforce公式HELP
Salesforce インスタンスの場所
自分の Salesforce 組織のインスタンス情報の表示

Salesforceの設定から「組織情報」を検索してクリックします。
組織の詳細の右下の方にあるインスタンスを控えます。

「インスタンスを探す」サイトを開き、インスタンスIDを入力して検索します。

このインスタンスはアメリカのデータセンターでHyperforceによって構築されているようです。

以下はインスタンスID「AP49」で検索した場合です。こちらは「非ハイパーフォース」です。

Hyperforceへの移行

契約のサポートレベルに応じてHyperforceの移行日の約90日前、または約30日前に組織移行の通知メールが送信されます。このメールの受信が移行対象の正確な情報で、Trustサイトで組織のインスタンスが移行対象となっていてもメールを受信していない場合は対象外とのことです。
Salesforceサクセスナビ:Hyperforceの概要と移行について
組織移行の通知メールのサンプル:
Salesforce からの組織移行に関する「製品およびサービスに関するお知らせ」

Hyperforceへの移行には主に以下の3つの確認や準備が必要とのことです。

  • ハードコードされた参照の削除
  • Hyperforce への接続を確認
  • Hyperforce へのアクセスを維持するための確認

移行前の組織では設定から「Hyperforce アシスタント」を利用できます。

また、既にHyperforceに移行した組織でトラブルに遭遇したユーザーが、情報を公開しているものもあります。これらの記事を確認しておくことでより安全に移行を完了することができるでしょう。

Salesforce Express Connect (SEC)は、Hyperforceの移行後は使用できません。SECは、Salesforceが運営するデータセンターのみに直接ネットワーク接続を提供するもので、Hyperforceには接続できません。SECと同等の代替手段が必要になります。詳しくは以下の公式HELPをご確認ください。
Salesforce公式HELP:Hyperforce について – 一般情報と FAQ

まとめ|Hyperforce とは

HyperforceとはAWSなどのパブリッククラウドサービス上にSalesforce製品を構築する新しいプラットフォームアーキテクチャです。アプリケーションとインフラを分離してSalesforceが機能拡張や開発に注力できたり、アプリケーションの実行やデータの保存を行う国や地域を指定できたり、メリットは大きいです。一方で、組織の移行に伴うトラブルを紹介した記事も見られます。いずれはHyperforceへ移行することになりますので、移行通知メールが届く前から少しずつでも準備を進めていきたいですね。

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