2023年2月末、Salesforce認定Sharing and Visibilityアーキテクトを受験し、無事合格しました。
この記事ではその勉強方法について紹介します。
なお、受験当時の筆者スキルは以下のとおりです。
- Salesforceのシステム管理者・開発者歴:4年
- 保有しているSalesforceの資格:認定アドミニストレータ、認定Platformデベロッパー、認定Sales Cloudコンサルタント
前提
認定Sharing and Visibilityアーキテクトとは?
認定Sharing and VisibilityアーキテクトはSalesforceの共有モデルの設計知識についての資格試験です。
公式ページでは以下のように説明されています。
Salesforce 認定 Sharing and Visibility アーキテクト資格は、Lightning プラットフォームで安全で拡張性の高いセキュリティモデルを設計できる知識、スキル、能力があることを証明したいアーキテクト、アナリスト、アドミニストレーターを対象としています。Salesforce 認定 Sharing and Visibility アーキテクトは、テクニカルソリューションを技術関係者に伝え、ビジネス要件を満たして品質を保証するプロジェクトデリバリフレームワークを提供できる必要があります。
SALESFORCE 認定 SHARING AND VISIBILITY アーキテクト
出題範囲と割合は以下になります
- 宣言的共有: 76%
- パフォーマンス: 7%
- プログラミング的共有: 17%
その他、受験要綱は以下のとおりです。詳しくは公式ページを参照ください。
- 内容: 多肢選択/複数選択方式の 60 問
- 試験の所要時間: 120 分
- 合格点: 67%
- 受験料: 40,000 円(税抜)
勉強方法について
学習時間
2022年11月初頭から試験勉強を開始し、受験したのは2023年2月末でした。
学習期間は4か月、学習時間は90時間程度です。
詳しくは後述しますが、この長い学習期間は今回の大きな反省点の一つでした。
学習の基本は公式ドキュメント
Trailheadに公式からTrailmixが提供されています。
Architect Journey: Sharing and Visibility
Salesforceの学習といえばTrailheadのモジュールですが、このTrailmixのほとんどはドキュメントです。
つまり認定Sharing and Visibilityアーキテクトの学習はとにかくドキュメントを読んで理解することが中心になります。
そのため、
トピックの内容を最後まで読む(1巡目) → 分からないところを理解する → もう一度頭から読み直す(n巡目)→ 苦手なポイントを押さえる。
ドキュメントに関しては基本的にはこの繰り返しでした。
こちらの勉強方法の詳細は少し長くなったため、後述のやってよかったことでさらに詳しく解説します。
また試験内容に関連した公式のyoutube動画(日本語!)もあります。
とても分かりやすく大変助かりました。
【機能紹介】Salesforceの共有設定をマスターしよう! 〜 Sharing & Visibility
とにかく手を動かす
ドキュメントを読み込むだけでは頭に入りません。
書かれていることを実際に設定し、どのように見えるかをきちんと自分で確認することで知識を定着させていきました。
業務で実装したことがある内容であれば理解しやすいのですが、出題範囲の広いアーキテクト資格ではあまり触ったことのない機能についても問われます。
個人的にはコミュニティ関連とテリトリー管理は業務であまり関わったことがない分野だったため、特にハンズオンはしっかり行いました。
またTrailheadを検索すれば、試験範囲に関連しているけれども前述のTrailmixには含まれていないモジュールも出てきます。
とにかく苦手分野はあの手この手で知識の不足を埋めることを意識しました。
受験を終えて
結果は一発合格でした!
ここからは受験後の試験内容に対する所感、やってよかった勉強法、反省点をまとめます。
受験後の感想
とにかく長文が多かったです。
以前Sale cloudコンサルタント資格を受験したときがそうだったこと、ほかの方の受験記でも同じような感想が書かれていたため想定してはいましたが、それにしても長く読みにくい。
毎度おなじみUC(ユニバーサルコンテナ)社が〇〇しようとしていますが最適な対応はどれですか? の形式です。
たとえば、以下のような問題です。
UC社では取引先に対して以下のような要件があります。
・ユーザーは自分または部下が所有する取引先のみを表示する必要があります。
・カスタム項目「取引先区分」の値が「重要」の取引先は営業マネージャー全員に表示される必要があります。
・取引先レコードには機密情報を含むカスタム項目があり、特定の3人のユーザーだけが参照・編集でき、それ以外のユーザーには非表示である必要があります。ただしこの3人のユーザーは時々変更されます。
これらの要件を満たすために必要な機能を3つ選択してください。
A 条件に基づく共有ルール
B 所有者に基づく共有ルール
C ロール階層
D Apexによる共有
E 権限セット
この問題のように、複数の正解が当てはまりそうであっても、アーキテクトとしてより効率的な方法が正解というパターンが何問かありました。
そのため一通り回答が終わったあとの見直しで別の回答に修正した問題もあります。
あまり数はありませんが、Apexの最適なコードを問われたり、実際のVFのコードを読んで脆弱性を選択したりする問題も……
受験前に想像していた以上に実践的かつ専門的な知識が問われた印象でした。
やってよかったこと
- 長文を読む習慣
-
先述のように長文問題が大半だったため、試験勉強でドキュメントを読み込んだことが結果的にSalesforce独特の長文を読む慣れにつながりました。
試験勉強期間中、特に最後の一か月はどれだけ忙しくても毎日最低10分はドキュメントを読む習慣をつけていため、試験中も最後まで集中力を切らさずに済みました。 - メモ&調査
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ドキュメントの分からないところは簡単なメモを取りながらいったん最後まで読み、読み終えてから調べることを習慣にしていました。
Trailmixのドキュメントは関連先まで含めるとかなり膨大です。
最初は一つの記事を読む際に関連先まですべて目を通していました。 また、分からない単語があればその都度検索していました。
しかしある時点で気づきます。
このやり方だといつまで経ってもTrailmixのドキュメントを読み終われないのでは……?
色々試した結果、私には手書きのメモ&Excelの単語帳作成が合っていました。
まずは関連先ドキュメントや芋づる式に出てくる疑問点はいったん無視して本文を最後まで読み、そのときに分からない単語や実装方法がパッと思い出せなかったところはメモを残します。そしてそのメモをもとに、必要に応じて関連先を参照したり、単語自体を検索したりしました。
なお関連先や検索結果でも同じようにまずはメモ。あとで調査を徹底しています。重要なのはこのとき調べた単語や内容を放置せず、何らかの形でアウトプットすることです。
私はハンズオンと並行して、Excelで単語帳を作成しました。
理由は時間が経った自分の走り書き字が汚すぎて読めなかったこと参照先のリンクが貼れること、手書きのメモでは情報が散逸して参照性が悪いことです。
これによって自分の苦手分野が浮き彫りになり、そこを中心的に学習することができました。
反省点
- 試験期間が長すぎた
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さすがに4か月はモチベーションを保つのにかなりギリギリの期間だったと思います。
・業務や私生活の繁閑の波があったことで、勉強の質にムラがあった
・絶対に1回で受かりたかったので「もう大丈夫」と言えるまで勉強期間をずるずる引き延ばした
4か月かけたのは大きく分けてこの2つが理由でしたが、このうちの2つ目が特によくなかったです。
試験に対するモチベーションの波が大きく、まったく集中できておらず質の悪い学習をしていた期間もありました。
時間をかけて、よく言えば丁寧な勉強をしたおかげで試験結果も悪くありませんでした。
しかし結果的には明確なゴールのない状況がストレスにつながり、その後のほかの資格試験のモチベーションをさせる原因になりました。
まとめ
以上が私の認定Sharing and Visibilityアーキテクトの受験体験です。
試験内容はこれまで私が受験したSalesforce資格よりもずっと設計に特化した内容でしたが、どれもSalesforce開発をするうえで重要なものばかりでした。
この記事を読まれた方が受験するうえで何か一つでも参考になることがありましたら幸いです。